こんにちは!かーやです。
今回は、辻村深月さんの『かがみの孤城』について紹介していきます!
目次
こんな方におすすめ!
- ファンタジーの世界を体験したい方
- 背中を押してくれるような本が読みたい方
- 勇気を与えてくれる本と出会いたい方
- 人とのつながりの大切さを感じたい方
- 考えさせられる本が好きな方
- 細部のストーリー設定を楽しみたい方
『かがみの孤城』あらすじ紹介
中学一年生のこころは、あることをきっかけに通っている雪科第五中学校を休む日々を送っていた。俗に言う「不登校」というやつだ。
両親は、入学早々不登校になったこころを心配して、近所にある「フリースクール」をこころに紹介するが、フリースクールへもなかなか通えずにいた。
そんなある日、いつも通り過ごしていると、部屋にある大きな姿見が光を放っている。
こころがその光る姿見に手を伸ばすと、鏡の中に身体が吸い込まれていく。
そして、気がつくとおとぎばなしに出てくるような立派なお城に迷い込んでいた。
何が起こっているのか整理できずにいるこころの目の前に現れたのは、「狼の面」を被った少女だった。
こころを含め、城に招かれたのは7人。
ジャージ姿のイケメン、リオン。
ポニーテールのしっかり者の女の子、アキ。
眼鏡をかけた声優声の女の子、フウカ。
ゲーム好きの男の子、マサムネ。
そばかす顔で物静かそうな男の子、スバル。
小太りで気弱そうな男の子、ウレシノ。
状況を呑み込めずにいる少年・少女たちだが、どうやら城に招かれ、この城で鍵を見つけ、「願いの部屋」を開くと何でも願いを1つ叶えてくれるらしい。
ゲームの主催は、狼の面を被った少女、通称「オオカミさま」。
ゲームのルールは、とてもシンプルで、
城の中に隠された鍵を探し「願いの部屋」を探すこと。
参加時間は日本時間の朝9時から夕方5時まで。
城への出入りは各自の「鏡」を通ること。
期限は3月30日まで。などなど。
ただし、注意点として、鍵を使って願いを叶えると城での記憶はすべてなくなる。
逆に鍵を使わなければ、全員城での記憶を持った状態でゲームを終えることができる。
それぞれ何かしらの事情を抱えた7人が城に集められ、「鍵探し」というゲームを通しながらお互いを少しずつ知っていく。時にはぶつかり、ケンカをしながらも、お互いの「本心」「本音」をぶつけることで徐々に距離を詰めていく7人に降りかかる試練の数々。
ある共通点、ある繋がりをきっかけに鏡の中の城に招かれた7人が繰り広げる物語を通して、「支え合うことの大切さ」「人との繋がりの大切さ」「今を生きることの重要さ」を教えてくれる、冒険物語。
読んだ後、もう一度読み返したくなる・・・そんな一冊になること間違いなし!
『かがみの孤城』おすすめポイント(ネタバレあり)
ファンタジーストーリーを通して現代社会の問題について学ぶ
「鏡の中の城」が舞台というファンタジー感満載の設定でありながら、現実的な要素や現代社会の問題も織り交ぜながら展開するため、子どもから大人まで楽しめるだけではなく、違った視点からの学びを得ることができます。
単純にストーリーを楽しむも良し、読み終わった後に誰かと議論するも良し。
ストーリー設定はとても非現実的だが、非現実的な世界の中に現実世界の「学校」「いじめ」「教育」「家族」のリアルな問題を織り交ぜることで、より現実問題が深刻に浮き彫りになる構成になっていたように思います。
多くの人が受け流し、見過ごすような問題に焦点を当てる、そんなストーリー展開になっています。
細部にもこだわった詳細な設定・展開
この部分に関しては、ネタバレ内容になるので、まだ『かがみの孤城』を読んでいない方は是非、読んだ後にこちらをお読みください!
たとえば、私が感動した設定は、スバルとマサムネについてです。
スバルは1985年から、マサムネは2013年からと、それぞれ別の年から集められているため、一見すると繋がりがないように思います。
「さっきから、考えてたんだ。マサムネのいる2013年は、僕、四十三……、四十四歳?
信じられないけど、結構いい年なんだなって。マサムネから見たら、おじさんだよね。
つまり、大人」
スバルが笑う。笑って、「だから」と続ける。
「目指すよ。今から。”ゲーム作る人”。マサムネが『このゲーム作ったの、オレの友達』ってちゃんと言えるように」引用:『かがみの孤城』
友達から、ほら吹きの「ホラマサ」と言われてきたマサムネにとって、どれだけ素敵な提案だったか、、、。
この部分がなぜ感動的なのかというと、物語の途中の2人のやり取り、スバルの本名などを繋げると分かります。
「ともあれ、そんなふうに世界が淘汰されて、選り分けられることがフィクションのパラレルワールド設定だと多い。『ゲトワ』の設定でもそうだろ?」
「『ゲトワ』?」
「あん?知ってんだろ?『ゲートワールド』。今超売れてるプロフェッサー・ナガヒサのゲーム。まさか知らねえの?」
「ナガヒサ……?」
スバルが怪訝そうに問い返す声に、マサムネが苛立ったように言う。
「ナガヒサ・ロクレンだよ!ゲーム会社ユニゾンの天才ディレクター」引用:『かがみの孤城』
マサムネが遊んでいるゲームは、「ナガヒサ・ロクレン」が作ったゲームであり、彼は2013年には天才ディレクターとして有名人であることが分かります。
そして驚いたのが、この部分です。
父のくれたもので一番好きなのは、スバルというこの名前。
こころは星の名前でファンタジーっぽいと言ってくれたけど、周りからは歌の名前と一緒だなんて言われることが多い。まあでも、その歌だってもとは星の昴から取られているんだろうから、別にいいか。昴。プレアデス星団。別名六連星。引用:『かがみの孤城』
スバルの本名は、長久昴。
昴の別名は六連星。
マサムネが言う、天才ディレクターはナガヒサ・ロクレン。
つまり、「ゲーム作る人」になると宣言した、スバル(長久昴)は、マサムネの知る天才ディレクターのナガヒサ・ロクレンだったんです!
鍵を使ったため、各自現実世界に戻った時には記憶は残っていませんが、マサムネはスバルとの約束を果たしていたのです。
現実世界では「助け合えない」と思っていたマサムネでしたが、実は鏡の世界に招待される前からスバルにある意味助けられていたのです。
スバルとマサムネ以外にも、アキとこころの繋がりや、オオカミさまとリオンの繋がりなど、様々な繋がりがストーリーの中に織り込まれています。
一度読んで、結末を知ったうえで再びストーリーを読むと、また違った視点で楽しむことができます!
ぜひ、それぞれの登場人物の繋がりを探ってみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、辻村深月さんの作品『かがみの孤城』について紹介していきました。
「非現実×現実」が、こんなにも違和感なく混ざり合ったストーリーに久しぶりに出会いました。物語を楽しみながら、そこから何か学びを得ることができる素敵な1冊になっています。
また、2022年12月に映画としても公開されるのも、個人的にはとても楽しみです!
ぜひ、皆さんも『かがみの孤城』を読んでみてください。
読み終わった後、もう一度読んでみたくなる、そんな小説です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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